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横浜地方裁判所 昭和45年(わ)229号 判決 1974年6月27日

主文

被告人古市滝之助を懲役一年に、

被告人東寶酒造株式会社を罰金二十万円に各処する。

被告人古市滝之助に対しては、この裁判の確定した日から二年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は、被告人古市滝之助の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人東寶酒造株式会社(旧商号東駒酒造株式会社、以下「被告人会社」と略称する。)は、福島県東白川郡棚倉町大字寺山字亀崎五番地に本店を設けて、酒類の製造・販売、清涼飲料の製造・販売及びこれに附帯する業務を営んでいたものであり、被告人古市滝之助は、右会社の代表取締役であつた古市一与の長男で、設立当初から右会社の取締役に就任し、事実上その業務一切を統轄主宰してきたものであるが、被告人古市滝之助は被告人会社の業務に関し、別紙犯罪事実一覧表共犯者欄記載の同会社従業員古沢輝夫、同鈴木義男もしくは同永山宗治と共謀の上、被告人会社の製造にかかる一・八リツトルびん詰二級清酒に、その内容・品質と異なる清酒特級の表示証を貼付してこれをあたかも特級清酒であるかのように装つて移出販売しようと企て、右犯罪事実一覧表記載のとおり、昭和四十四年十二月二十二日、同月二十四日、同月二十七日の三回にわたり、被告人会社本店において、同社製造にかかる一・八リツトルびん詰二級清酒合計一万六千四百九十四本に清酒特級の表示証を貼付し、もつて商品であるびん詰清酒にその内容・品質に付誤認を生ぜしめる虚偽の表示をしたものである。

(証拠の標目)(省略)

(法令の適用)

被告人古市滝之助の判示各所為はいずれも不正競争防止法第五条第一号・刑法第六十条に該当するので、それぞれ所定刑中懲役刑を選択し、以上は同法第四十五条前段の併合罪であるから同法第四十七条本文・第十条により犯情の最も重い別紙犯罪事実一覧表記載2の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役一年に処し、情状により同法第二十五条第一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予し、

右被告人古市滝之助の本件犯行は、被告人会社の業務に関しなされたものであるから、不正競争防止法第五条ノ二・第五条第一号・刑法第四十五条前段・第四十八条第二項を適用して、その所定の罰金の合算額の範囲内において被告人会社を罰金二十万円に処し、

訴訟費用は、刑事訴訟法第百八十一条一項本文により、被告人古市滝之助の負担とする。

以上の理由により、主文のとおり判決する。

別紙犯罪事実一覧表(省略)

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